2022年5月10日、高瀬比佐子さんが主宰する「未来をつくる介護カフェ」のイベントで、三好春樹さんの講演会に行ってきました。
『関係障害論』という彼の著書を読んで衝撃を受け、それ以来彼のファンです。
まだ20世紀でした。
また、『ブリコラージュ』という彼が責任編集する雑誌や編纂する書籍にも、笑いヨガを取り上げていただいたことがあります。だから個人的には彼は親しみを持って大好きな人なのですが、初対面でしたし、三好さんは私の存在は知らなかったのです。
片想い?
介護の世界を本当に魅力的に伝えてくれる、とても有名な方です。
やっと会えた三好春樹さんの講演は、もちろんとても楽しくステキでした。
講演のメモを、自分のために書き残します。
「介護がおもしろい」のテーマを下記の順番で心にしみる話を連発しました。
仕事として面白い
介護職がおもしろい
介護がおもしろい
老人が面白い
人生として面白い
介護の仕事に24歳で出会った。それまで12回の転職を繰り返してきたが、介護は自分の個性をつぶす必要が無い仕事だから続いた。28歳で理学療法士の学校に行き、最初の職場に戻った。
介護は老人との関係でいえば、誠意がそのまま通じる仕事である。
専門職は面白い。最初の上司Wさん(女性)から、学んだ。彼女の名言「介護の仕事の面白さは、人の人生をのぞき見できることろ」。(他の名言も最高でした)
介護職は“病気”“挫折”や“コンプレックス”が役立つ。人生経験こそが、相手を落ち着かせるキーとなるからだ。そばにいて、一緒に泣いたり笑ったりする仕事だから。
尊厳という意味では、受け入れがたい言動をする介護職がいた。だけど、その方の担当日は、利用者が良く寝れ問題が起きない。観察してみたら、怒ったりきつい言葉を発しているが、その口調は、いたずらっ子をしかる母の口調だった。認知症の方は、言葉の意味より音を捉える。無意識の豊かさがある人は、介護職としてうまくいく。
無意識の豊かさをどう認めていくかが、職場では大切なこと。一方的な見方はしない方がいい。
一般的な仕事は営利追及。介護の仕事はそれだけではうまくいかない。
効率的にやろうとすると、老人は混乱し、かえって非効率になることがある。
老いを自然なものとして、共有していく文化が大事。本当の介護は地域にあり、生活の場にある。
人間いざというときには全力を出すけど、3~4割の力でできることでなければ、日常生活とは言えない。工夫し、その力でできるようにするのが仕事。
介護の仕事はブリコラージュ(手作りの器用な仕事)。打率2割5分位。何回も繰り返して工夫し、4回やったら、1回うまくいく程度の成功率。そう考えると、介護の意味が広がった。
最首悟先生を招いて勉強会をした際、介護は「倫理」「義務」といった上からくるものではできない。横からくる「内発的」な義務だ。マイナスをいかにゼロに近づけていくのか。介護保険導入で行われた介護の社会化は、介護の資本主義社会化だった。
最首悟先生を2回目に招いたときは、「内発的な義務」という言葉は消えていた。 介護の根拠は「二者性」。二者性とは一対一の関係。人間は無限の二者性の中で生きているが、そのそれぞれの関係性の中で、「困っている人をほっとけない」が起きる。彼は国は二者性を切断し、国家に従えといっているといった趣旨を難しい言葉でTwitterで毎日つぶやいている。(難しすぎて私には理解困難!)
私たちの介護は「仕事」を超えている。人間が、人間たらしめた本能のようなものを発揮していくことが大事ではないか。
目の前にいる人をほっとけない!この本能だ
【対談の中で】
病気を治すのは病院、元気にするのは生活の場
高瀬さんのイベントは、志高く温かい人が集まる温かい場です。
グループディスカッションも刺激的で楽しかったです。自然に感謝の気持ちがわいてきました。
私は自分の講演で「病気は医者が治すけど、元気をつくるのは自分」と言っています。 三好春樹さんの話を聴いていて、病気の責任者も自分であり、その自分が自分のままでいることを支えてくれるのが、介護なのだと思いました。
(高田佳子)
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