愛知県在住の吉見典生さん。笑いヨガティーチャーです。
2009年の日本笑いヨガ協会の第1回笑いヨガティーチャー養成講座に参加されました。
60歳で膀胱がんになり、笑いで治した猛者です。当時は笑いヨガは知らなかったけど、ノーマン・カズンズの『笑いの治癒力』という本をニューヨークで知り、がんになった時に笑って治そうと、必死で笑ったという方です。
税理士事務所の経営者でもあるので、たくさんの人に笑いヨガを伝えたいと思ってくださいました。
2009年の講座では、49人のティーチャーが誕生しました。
人数が多いので、そのときは詳しくお話できなかったのですが、後日いただいた彼の闘病記がすさまじかった!
膀胱がんとの壮絶な戦いは、よくぞ生き残ってくださったと思うほどです。
もちろん、笑うだけでがんが良くなるわけではありません。主治医と相談の上、納得のいく治療を受けながらの笑いの行、彼のやっていたのはまさに笑い瞑想だったと思います。
しかし、笑い続けて寛解させました。
以後、笑いヨガを実践されていたのですが、2年ほど前から食道がんになりました。
今回も、笑いや感謝の行、化学療法等を組み合わせた治療を続けていますがが、彼の体からがんは立ち去りません。
食道がんですので、食べると痛みが出るのです。胃ろうをつくって栄養補給をされていて、その様子がFacebookで紹介されていました。
痩せていて心配になりましたが、最先端の治療も受けておられますし、笑ったり散歩したりもしています。
そして、1月頃でしょうか、立ち去ってくれない「がん」が治るのを待たず、モンゴルに行くと宣言されたのです!!
出発日を決め、準備を始めました。
出発は5月26日。なんと、6月20日迄の25日の旅なのだそうです。
私は出発までに、一度お目にかかりたいと思っていました。
そして、やっと5月16日に彼の住む蒲郡まで出かけて行き、直接お目にかかることができました。
彼は現在79歳。同級生の奥様も一緒に来ていただきました。
笑顔を見ているとお元気ですが、やはり痩せておられます。
がんだけではなく、口の中にカンジタ菌が繁殖していて、まずくて食べられないのだそうです。
それでも、モンゴルに行く理由を聞いてみました。
「生きるために行く」とおっしゃられました。
モンゴルの草原を、自分が運転して走るのだそうです。
行きたいところに行く、やりたいことをする。
それが、吉見さんの生き方なのだと思いました。
治療を終えてから行くという考え方もありますが、人間は治療のために生きているのではありません。
病気の体をケアするために、生きているわけではありません。
彼は、もちろんそれをやってきたし、十分やったと思われたのでしょう。
だからこそ、自分の「生きる」を最高にするために、旅に出るのだと思いました。
奥様にも聞いてみました。
お二人は、本当に仲良しで、80歳近いのに小学校からずっと一緒。そして、今もラブラブです。
「一人で行かせるのは、心配ではないでしょうか?」
彼女のお答えは、 「もちろん心配ではあるけれど、本人がやりたいことをやるのが、一番いいのよ。」
彼女は、十分に闘病している夫を尊敬しているし、自分が十分支えてきたことに、自信と誇りがあるのだと思いました。
彼らの子ども、お孫さんたちには医療関係の人も多く、十分な情報があるし、経済的にも裕福なので、できることは全部やっているのだと思います。
命がなくなればお話しにならないので、それは大事。
しかし、それだけでは全然ダメなのです。
英語のLifeは、日本語にすると3つの意味があります。
「生命」「人生」「生活」です。
この3つの全ての質を自分の力でアップさせていく。
それが、吉見さんにとってのモンゴル旅行であり、身体を整えることを含めてそれに向けての準備、そしてそれを推進する人生観なのだと、すばらしいお話に感無量でした。
今日生まれた赤ちゃんでさえ、いつか命が終わる日が来ます。
そのときに後悔しないため、
私も吉見さんと同じように、
「夢をあきらめない」「やりたいことをやる」ことに決めました。
会いたい人に会う、吉見さんご夫妻に会えて、本当に良かった。
彼は病気かもしれませんが、果てしないパワーを私に与えてくれました。
(高田佳子)
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